「預金保険制度」について、ご案内いたします。
Q1.から順にお読みいただくと、預金保険制度についての概要がご理解いただけます。
ペイオフは、預金保険制度の保護制度のひとつで、金融機関が破たんした場合に、預金保険機構から元本1000万円とその利息等を限度額として預金者に払い戻される制度です。1預金者が1金融機関に複数の預金をしている場合は、各支店・各種預金の金額が合計されます。
預金保険制度では、問題のある金融機関に対して合併等を勧めることで、預金者が被る損失を最小限に抑え、迅速に譲受金融機関へ預金等が引き継がれるように資金援助方式が優先され、ペイオフ方式は最終的な措置となります。
預金保険制度の保護制度には、「ペイオフ方式」の他に破たんした金融機関と合併等を行なう救済金融機関に対して資金援助をして預金者の預金を保護する方法があります。
「資金援助方式」では、預金者が破たん金融機関から受けていた預金の受入・払出、貸付、決済などの金融サービスを引き続き救済金融機関から受けられるメリットがあり、ペイオフ方式に優先して適用されます。
2002年4月にペイオフの凍結が解除され、1預金者が1金融機関において元本1000万円とその利息等が保護の対象になりました。ただし、当座預金・普通預金・別段預金については、2005年3月末まで全額保護されます。
2005年4月以降も、利息がつかない等の条件を満たす預金(※1)は全額保護されます。
預金保護の内容をまとめると下記のようになります。
預金保護の範囲と時期
※1 決済用預金といいます。「無利息、要求払い、決済サービスを提供できること」という3条件を満たすものです。
※2 金融機関が2003年4月以降に合併を行ったり、営業(事業)のすべてを譲り受けた場合には、その後1年間に限り、当該保護金額が1千万円の代わりに、「1千万円×合併等に関わった金融機関の数」による金額になります。(例えば、2行合併の場合は2千万円)
※3 定期積金の給付補てん金、金銭信託における収益の分配等も利息と同様保護されます。
注: 振込み等の仕掛り中の決済資金については全額保護されます。また、預金小切手(預手)、送金小切手(送手)は原則として全額保護されます。
預金買取りにより、破たんに伴う損失負担に応じて一部カットとなることがあります。
預金者は保険金支払額(元本1000万円までとその利息等)と預金保険機構の預金買取りによる支払額(元本1000万円を超える部分とその利息等の概算払い額)の合計額を受け取ることができます。概算払い額は、元本1000万円を超える部分とその利息等に概算払い率(破たんの状況に応じて一部カット)を乗じて計算されます。
さらに、後日、預金保険機構が回収した額が、回収等に要した費用を差し引いても、概算払い額を上回る場合には、当該金額が預金者に追加的に支払われます。
金融機関破たん時の預金等の払戻の概要
保護対象となる金融機関は、信用金庫・銀行・信用組合・労働金庫・信金中央金庫などの、日本国内に本店のある金融機関です。
預金保険制度対象金融機関 | 保護対象とならない金融機関 |
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日本国内に本店のある
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注) 農協、漁協、水産加工業協同組合等は農水産業協同組合貯金保険制度に加入しています。
保護対象となる預金は、当座預金・普通預金・別段預金・通知預金・納税準備預金・貯蓄預金・掛金・定期預金・定期積金・金融債・元本補てん契約のある金銭信託(ビッグ・ワイド)などです。
保護対象外となる預金は、外貨預金・譲渡性預金・元本補てんの契約のない金銭信託(ヒット・スーパーヒット)などです。
預金保険制度の対象となる具体的な預金等(付保預金)
預金保険制度対象預金 | 保護対象とならない預金 |
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借名預金・架空名義預金など本人確認ができない預金は付保対象とはなりませんので本人名義への変更が必要となります。
運営組織や規約、議事録などがあって運営の実態がはっきりしている組織の預金は一預金者と同様の扱いを受けられます。組織的な運営をしている自治会、町内会、同窓会などがこれに当たります。
しかし、規約がないなど組織的な運営の実態がはっきりしない組織の預金は取扱いが変わります。具体的には、グループ旅行の積立金やサークルのプール金などで、この場合、預金は積立てに参加した各人ごとに分割し、それぞれの個人の預金として元本に合算されます。
法人登記をしていない個人事業者の場合は、事業用と個人用に口座を分けていても、一個人の預金として名寄せされます。従いまして事業用と個人用を合わせて元本1000万円とその利息等が保護の対象となります。
また法人登記をしている会社などの場合、役職や部署ごとに口座を分けていてもすべての預金が会社の預金とみなされます。
元本1000万円とその利息等に対する保険金の支払いの場合、下記のとおり優先順位が定められています。
他の債権の担保になっていない預金
預金が担保となっていない場合は満期の早いもの
満期が同じ場合は金利の低いもの
満期・金利が同じ場合は、預金保険機構が指定するもの
預金の払い戻し(保険金の支払い)の例
預金と借入金の両方がある場合、これらの差し引きをすることを「相殺(そうさい)」といいます。この相殺は普通預金など満期の定めのないものはお客様から相殺を申し出ることができます。また定期預金など満期の定めのあるものは、満期が到来した時や預金規定に金融機関が破たんするなど一定の条件を満たした場合に相殺できる旨定められている場合は相殺の申し出ができます。
預金が借入金を上回る場合の預金保護の例
破たんした金融機関の規模により異なりますが、預金者の名寄せなどを行った上で、数週間以内を目処に支払われるよう準備が進められることとされています。
しかし、保険金の支払い時期については預金保険法に定めがなく、法的手続等の作業等もありその時期については相当の日数がかかるものと予想されます。
実際の支払いにあたっては、預金保険機構から預金者に対して、保険金の支払い期間、支払い場所の他、留意事項等が記載された支払い通知書により連絡し、合わせて官報等に公告します。 預金者は、支払い期間内に、預金保険機構に対して支払請求をすることになります。
預金保険機構は、保険金支払いまでに時間を要すると見込まれる場合、預金者の請求により、普通預金に限り、1口座につき60万円を限度に保険金の前払いとして仮払金を支払うことができます。
仮払いを行なうかどうかの判断は、金融機関の破たん発生後1週間以内に、預金保険機構が行ないます。
「預金保険制度」は預金者保護と併せて信用秩序維持が目的とされている制度です。
信用秩序維持においては、万が一の金融システム危機(システミック・リスク:金融機関の破たんにより信用秩序の維持や国民生活・地域経済の安定に重大な支障が生じることが予想されるような危機的な事態)を回避する制度が用意されました。
具体的には通常の破たん処理の枠組みでは対応できない危機的な事態(システミック・リスク)が発生する場合に備え、例外的な措置として、ペイオフコストを上回る資金援助(預金の全額保護)や特別危機管理(預金保険機構による株式等の取得)など、預金者などに破たんに伴う損失負担を求めない措置をとることができます。
預金保険制度の詳細については、預金保険機構や金融広報中央委員会などのホームページでご確認ください。